想定シーン:自社(日本の IT 企業、ソフト中心・AI とハードの部門もあり)と「ハード工場に精通した他社のマネージャー」が組み、ソフト×ハード融合のフィジカルAIロボットを狙う。実行はそのマネージャーが主導し、会長/社長は投資家の立場で関与。まだ確定ではなく、少しずつ立ち上げる段階。
🌐 まず、この企画書の位置づけを正す
今のフェーズ(未確定・少しずつ始動・会長/社長は投資家・他社マネージャーが実行役)では、**この企画書は「実行計画書」ではなく「起案 + 投資判断書」**である——会長と社長に対して、やる価値があるか・いくら投じるか・誰がやるか・最悪どうなるかを納得させるものだ。
技術の派手さは主役ではない。ビジネスのロジックが閉じるかこそが核心。全編、投資家の視点で書く。
一言で:経営陣が見るのは「投資対効果とリスク」であって、「技術スペック」ではない。
🧠 核心ポイント:審査会で必ず突かれる 7 つの問い
通る企画書とは、本質的にこの 7 つの問いに答え切ったものだ。
- なぜ今やるのか? 市場タイミング——フィジカルAIロボットは今どの段階にあり、なぜ 3 年前でも 3 年後でもないのか。
- なぜ「我々」がやるのか? 自社のソフト + AI 力 × 他社のハード工場リソース = 他では再現できない組み合わせの強み。
- 具体的に何を作るのか? 「ロボットを作る」で止めず、具体的な切り口に落とす:どんなロボットを、誰に、どんな痛点を解くために。
- どう稼ぐのか? ビジネスモデル——ハード販売? ソフトのサブスク? システムインテグレーション? それとも工場に「ソフトの頭脳」を提供する形か?
- 誰がやり、各者の役割は? 本案の肝:会長/社長が出資・他社マネージャーが実行・自社がソフト/AI を提供——出資比率、決定権、収益配分、合弁会社(JV)を作るか否か。
- いくら投じ、いつ回収するか? 資金計画 + 簡単な収支予測。粗くてもよい。
- 最悪どうなり、どう備えるか? リスクと対策、撤退(出口)の仕組み。
🧭 集めるべき情報(同僚への依頼リスト付き)
情報は 5 種類に分ける。社長の指示で既に「フィジカルAIロボット関連のニュース・情報」を集めている同僚に、この構造で分類してもらうと、散らばったニュースの束よりずっと役に立つ。
A. 市場・トレンド系(同僚が既に持っている可能性大、分類を依頼)
- フィジカルAIロボットの市場規模・成長予測(グローバル + 日本国内を分けて)。
- 産業の段階:まだ demo/PoC 期か、量産・実装事例が出ているか。
- 主要プレイヤー:Figure、Tesla Optimus、Unitree(宇樹)、Boston Dynamics、そして日本勢(川崎、安川、ソフトバンク等)が各々どこまで進んでいるか。
- 政策・補助:日本政府のロボット/AI 向け補助金・税制優遇——これは会長を説得するのに特に効く。
B. 技術・サプライチェーン系(他社マネージャーに聞く)
- ハード工場が何を作れるか、精度、生産能力、コスト構造。
- 完成機を自社開発するか、既製のボディ(宇樹など)+ 自社の「ソフトの頭脳」でいくか? 両者でコストは天と地ほど違う。
- 主要部品(モーター、減速機、センサー、電池)の調達先とボトルネックリスク。
C. 競合・ベンチマーク系
- 狙う方向に最も近い会社を 2〜3 社選び、製品・価格・顧客・ビジネスモデルを分解する。
D. 顧客・ニーズ系(見落とされがちだが最も価値がある)
- 誰に売るのか? 工場自動化/物流倉庫/店舗・飲食サービス/介護(日本の高齢化の切実なニーズ)?
- その顧客が今何を使い、痛点は何で、いくら払う気があるか。
- 潜在顧客 1〜2 社にヒアリングできると理想——「もしこれがあったら買いますか」程度でもよい。
E. 自社の能力棚卸し
- AI 部門・ソフト部門の今の具体的な能力(ビジョン、制御、大規模モデル、シミュレーション?)。
- 何人投入できるか、何の人材が足りないか。
同僚へはこう言える:「社長に頼まれて集めているフィジカルAIロボットの情報、『市場規模/主要プレイヤー/実装事例/日本の政策補助/競合の製品価格』のカテゴリで整理してもらえる? 企画書のフレーム作りに使いたい。」
🦾 全体フレーム:説得のロジックチェーン
企画書全体は一本の説得チェーンだ。順序を崩さない——前半は「やるべきか」、後半は「どうやるか・何を決裁してほしいか」に答える:
背景・目的 → 市場機会 → 切り口(何を作るか) → なぜ我々か(強み)
→ ビジネスモデル(どう稼ぐ) → 実施体制(誰がやる・出資構造) → ロードマップ・マイルストーン
→ 収支・投資計画 → リスクと対策 → 結論(意思決定のお願い)
🏭 そのまま埋められるフレーム案(11 節)
以下は 日本語の節名(社長に見せる正式形態)+ 解説(何を書くか)。この段階で全節を埋め切る必要はない。⭐ は本案で最も重要・必須の節。
| # | 節 | この節に書くこと |
|---|---|---|
| 0 | エグゼクティブサマリー | ⭐ 1 ページで言い切る:何をやる・市場規模・我々の強み・いくら投じる・リターン。社長はこの 1 ページだけ見ることも多い。最後に書いて最前に置く |
| 1 | 事業の背景・目的 | なぜこの案を出すか;会社戦略上なぜフィジカルAIロボットに進むのか(AI + ハード融合の大潮流、既存部門の延長線) |
| 2 | 市場分析 | 市場規模・成長(グローバル + 日本)、産業段階、政策補助;同僚の情報で埋める |
| 3 | 競合・ベンチマーク分析 | ベンチマーク 2〜3 社を分解;市場の空白がどこにあるかを指摘 |
| 4 | 事業コンセプト(提供価値) | ⭐ 具体的な切り口:どんなロボットを・誰に・どんな痛点を解くか。具体的であるほど良い。「ロボットを作る」で止めない |
| 5 | 自社の強み・差別化 | ⭐ 自社のソフト/AI 力 × 他社のハード工場リソース = 独自の組み合わせ;SWOT 表で示す |
| 6 | ビジネスモデル・収益構造 | ⭐ どう稼ぐか:完成機販売/ソフトのサブスク/SI/工場への「ソフトの頭脳」提供。複数の収益源を並べてよい |
| 7 | 実施体制・役割分担 | ⭐⭐ 本案の核心:会長/社長が出資・他社マネージャーが実行・自社がソフト AI を供給;出資構造・決定権・収益配分、合弁会社(JV)を作るか、各者が何を投じるかを図示 |
| 8 | 事業ロードマップ・マイルストーン | 段階分け:①調査/PoC →②試作 →③小ロット/パイロット顧客 →④量産/拡大;各段階の時期・目標・継続可否のゲート(Go/No-Go) |
| 9 | 投資計画・収支計画 | ⭐ いくら・どこに投じ・何年で回収するか。粗算でも可。段階投資で、まず小額で検証し成功したら積み増す——投資家に最も刺さる形 |
| 10 | リスクと対策 | ⭐ 技術リスク、市場リスク、パートナーリスク(マネージャーが抜けたら? 工場が値上げしたら?)、撤退の仕組み |
| 11 | 結論・意思決定のお願い | ⭐ 会長/社長に何を決裁してほしいかを明確に:第 1 段階の調査にいくら予算を出すか? JV 交渉を進めてよいか? 意思決定者に明確な「次の一手」を渡す |
⚠️ 2 つの重要な注意 + 立ち上げの提案
本案で特に重要な 2 点:
- 第 7 節(出資/役割構造)と第 9 節(段階投資)がこの企画書の魂。 本質が「出資 + 実行役を立てる」構図である以上、会長が最も気にするのは「自分が金を出し、他人がやる。構造をどう設計し、いくらまでなら損を許容できるか」。「まず小額で第 1 段階を検証し、回ったら積み増す」と明記すれば、通る確率は大きく上がる。
- 今の段階で完璧を求めない。 まず**「起案ディスカッション版」**でよい——0・1・2・4・5・7・11 の節だけしっかり書き、6/8/9/10 はラフな枠だけ。マネージャーと話し、情報が揃ってから詳細化する。これなら早く社長に見せられ、かつ「情報不足で書けない」で止まらない。
次の一手の提案:① 同僚に上記 5 カテゴリで情報を整理してもらう;② 「他社マネージャーに聞くこと」リスト(B 種 + 第 7 節の出資構造)を作る;③ まず第 0・4・5・7 節のドラフトを書き、会長/社長との擦り合わせを 1 回設定する。